金沢木材販売事情(その3:継続は力なり)

社長です。

今日は本当ならお休みの土曜日ですが、出社しております。溜まった見積もりをやり終えたところです。新築の家一軒を建てるのに必要な木材の代金を計算しておりました。昔でしたら、総費用の三分の一が木材代金と言われておりましたが、現在では十分の一以下です。その要因を述べていると長くなりますので、本日は割愛いたします。

さて、今回の失敗談は、やはり営業に出がけの頃、相手は前回と同じお客様です。

ある日、顔をだしたところ、「なにか造作材を取るのに、良い材料はないかな」とのご質問です。造作材とは、皆さんが普段みるものでしたら、障子や襖の鴨居・敷居またはドアや窓のサッシの枠などです。このお客様は、そんなものを木材の原板(厚さ25~50㎜に成形された板)から、自分で削りだして作っていました。「これまで〇〇(東南アジア方面でとれる広葉樹の一種でした)を使っていたけれど、ちょっと柔らかくてな。もう少し硬いものが良いのだが」と言うお客様の言葉を受けて、早速、弊社が懇意にしている同業者に「・・・ということなんだけど、なにか良いものはないですか」と問いかけました。なぜここで同業他社が出てくるかというと、弊社はもともと国産の木材をメインにしており、外国の材料、特に広葉樹は勉強不足であまり扱い馴れていなかったのです。そこで、弊社よりも外材に詳しい同業者にお尋ねした訳です。返ってきたのが「ペルポックという良い木があるよ」との答え。お客様にその旨連絡すると、「それじゃ、一つ持ってきてくれ」とのうれしい返事でした。

それから数か月後、当のお客様から、前にいれたものがなくなったから、すぐ入れてくれとの電話がありました。早速、件の同業者に在庫を問い合わせると、「いま在庫ないよ」と簡単に言います。「じゃあいつ入るの」ときくと、「入荷が薄いから、当面入る予定はないなぁ」。今でしたら、外地の広葉樹の仕入れ先も増え、違ったルートで探せたのしょうが、その時は、何も思いつかず、青ざめたまま「大変申し訳ありません。在庫切れで手配がつきません」と、返事をすることしかできませんでした。当然返ってきたのは、お叱りの言葉です。「続けれないものを売るな!」。

何事も、継続は力なり です。

ではまた、次回まで。

《ペルポック》 東南アジアからニューギニア方面が産地です。黄白色で加工性が良く、造作材として一時期よく使われました。この木に限らず、戦後、日本は多くの木材を外国から輸入しました。東南アジアの各国からも様々な木材が輸入されましたが、砂糖に集る蟻のように買いあさったために、樹種によっては資源が枯渇してしまうこともありました。何十年、何百年とかけて育った木を、次から次へと伐採しまくれば、当然の結果です。