材木屋さんて何をしているの(第8回:ウッドデッキそれから)
こんにちは、街道です。
まずは、この度の豪雨災害について、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げますとともに、一日でも早い復旧・復興を
お祈り申し上げます。
さて、今回も引き続きウッドデッキ材について触れてみようと思います。
前回は、話の流れからハードウッドばかり取り上げました。いずれもその高い耐久性から、ウッドデッキに最も適している
木だと紹介しました。その中の、代表的な樹種であるイぺについて、思い出を一つ、二つ述べてみます。
私がこの業界に入って初めてイぺに触れた時の感想は、「こんなに固くて、重い木があったんだ」というものでした。普段、
杉、ヒバといった針葉樹ばかり見てきた者には、とても同じ木材とは思えなかったものです。
随分前になりますが、このイぺを削る機会がありました。イぺの角材でしたが、寸法を少し小さくしてくれというのです。
これを削るのには超硬刃という特殊な刃を使用します。普通の刃では負けてしまうのです。さて、四方を削り終え、角の
面を取ろうとした時、うっかり手の甲が角に触れました。その途端、切れました。まるで剃刀の刃を押し当てて、スッと引いた
ような感じでした。流れる血を見ながら、痛いというよりも、「いやー、すごい切れ味だなあ」と感心したものでした。
固いからこそエッジが立っていたのですね。杉なんかではまずありえないことです。
また、こんなことがありました。ある、業者さんにイぺを納材した時のことですが、暫くしてから電話が掛かってきました。
業者さん 「ビスが途中でねじ切れてしまって作業が進まないんだけど」
私 「固いんですから、先に下穴を開けて下さい」
業者さん 「あ、やっぱりそうなんだ」
また、暫くして、
業者さん 「丸鋸が焼けてしまったんだけど」
私 「新しいのに取り替えて下さい」
そんな、やりとりをしたこともありました。
さて、それではウッドデッキに適していて、もっと施工しやすい木はないのか、ということになります。耐久性では、
さすがにハードウッドに敵わないものの、比較的適したものとして、米ヒバ、米杉、青森ヒバ、能登ヒバ、桧といった樹種が
挙げられます。冒頭の写真は、右から、イぺ、能登ヒバ、米ヒバ、桧、米杉となっています。イぺは、ご案内の通りですが、
その他の樹種は、いずれも高い防虫性と、腐食のしづらさを兼ねそろえた針葉樹です。昔、私たちの大先輩がこんな実験
をしました。米ヒバと能登ヒバ、そして桧の角材を地中に埋めて、腐食の進行を比較してみたのです。その結果、その先輩が
いうには、能登ヒバが一番よくもったとのことでした。
しかしながら、これまでご紹介してきた樹種は、一般の方には、なかなか入手しづらいと思います。専門業者、すなわち
材木屋さんにたのんでそろえてもらうか、通販で購入するかどちらかになるでしょう。そんな手間はかけたくないとなると、
ホームセンターで売っているものとなります。店によって品ぞろえは違うでしょうが、一般的には、SPF, ホワイトウッド、
赤松といったところでしょうか。 もしこれらをお使いになりたいというのであれば、せめて、市販の防腐材を塗布して下さい。
できれば、予め防腐処理をされたものを使われることをお勧めします。 それでも耐用年数は限られますので、 さらに
できるのであれば、土台・大引・根太垂木といった基礎となる部分だけでも、他の耐久性に優れたものをお使いになるのも
一つの方法かと思います。
それでは、また。